原付免許とは、正式名称を「原動機付自転車免許」といい、原付免許を取得すると、原動機付自転車を運転できるようになります。取得できる年齢は16歳からなので、初めての運転免許として取得を検討している方も多いのではないでしょうか。今回は、原付免許で運転できる原動機付自転車の種類や2025年4月に新たに適用が開始された「新基準原付」の概要、取得方法、費用、試験内容などについて解説します。
- 目次
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1. 原付免許とは
概要
原付免許の「原付」とは、正式名称を「原動機付自転車」といい、エンジンやモーターなどの小型動力源を搭載した二輪車をさします。原付免許とは、この原動機付自転車を運転するための免許のことで、16歳から取得が可能です。
すでに普通二輪免許(※)、大型二輪免許、大型特殊免許、普通免許、準中型免許、中型免許、大型免許を持っている場合は、その免許で原動機付自転車を運転することができます。
※総排気量400cc以下の原動機付自転車に限る。小型限定の条件がある場合は、総排気量125cc以下の原動機付自転車に限る。
有効期間
原付免許には、そのほかの運転免許と同様に有効期間が設けられています。原付免許を初めて取得した場合、有効期間は3年です。その後、初めて免許を更新した際の有効期間も3年です。以降は、違反の有無や年齢等によって有効期間が決まります。
- 新規取得者(初めて運転免許を取得する)...3年
- 初回更新者(初めて更新をする)...3年
- 違反運転者(違反が複数、もしくは怪我のある事故を起こした)...3年
- 一般運転者(5年以上免許を受けていて、3点以下の軽微な違反が1回)...5年
- 優良運転者(5年以上免許を受けていて、違反や怪我のある事故を起こしたことがない)...5年
- 70歳(更新期間満了日の直前の誕生日に71歳になる)の優良・一般運転者...4年
- 71歳以上の優良・一般運転者...3年
2. 原付免許で運転できる原動機付自転車の種類、新基準について
そもそも原動機付自転車は、原付一種と原付二種に分けられており、原付免許で乗れるのは、原付一種のみです。また、これまで原付一種は、排気量50cc以下の原動機付自転車をさしていましたが、この区分が見直されることが警察庁により発表されました。新たに導入される新基準原付の概要や、従来の原付との違いについて解説します。
新基準原付とは? 導入される背景について
新基準原付とは、総排気量を125cc以下、最高出力を4kW(5.4ps)以下に制限した原動機付自転車のことです。上述のとおり、従来、原付免許で乗れるのは排気量50cc以下の原動機付自転車でした。しかし、2025年4月1日から「新基準原付」が原付一種に追加されることに伴い、総排気量125cc以下、最高出力4kW(5.4ps)以下の原動機付自転車を原付免許で乗れるようになります。
見直しの背景には、排気量50cc以下の原付の生産が少なくなっていること、また、従来の原付では2025年11月に適用される排ガス規制の基準を満たせなくなることがあります。
ただし、新基準原付が導入されても、原付一種の交通ルールは変わりません。「法定速度30km/h」「2段階右折」「2人乗り禁止」といったルールは引き続き守るようにしましょう。
従来の原付・新基準原付・原付二種の違い
従来の原付・新基準原付・原付二種の規格やナンバープレートの色の違いについても表にまとめましたので参考にしてください。
原付一種 | 原付二種 | |||
---|---|---|---|---|
従来の原付 | 新基準原付 | |||
総排気量 | 50cc以下 | 125cc以下 | 50cc超〜90cc以下 | 90cc超〜125cc以下 |
最高出力 | 規制なし | 4kW(5.4ps)以下 | 0.6kW超~0.8kW以下 | 0.8kW超~1.0kW以下 |
法定速度 | 30km/h | 60km/h | ||
2段階右折 | 必要 | 不要 | ||
2人乗り | × | ◯ | ||
ナンバープレートの色 | 白 | 黄色 | ピンク | |
必要な免許 | 原付免許 | 小型限定普通二輪免許(AT限定も含む) |
原付二種については、以下の記事で詳細を紹介していますので参考にしてください。
3.原付免許の取得方法
原付免許は普通免許などと取得方法が異なります。取得する際の基本的な流れは次の通りです。運転免許試験場や運転免許センターに直接出向き、そこで試験を受けます。試験に実技試験はなく学科試験のみ。学科試験合格後は原付講習を受講しなければ免許が交付されません。もし学科試験と同じ日に、原付講習が受講できれば、最短1日で原付免許を取得することも可能です。
取得場所
住民票のある運転免許試験場や運転免許センターで取得できます。
取得可能日時
原付免許を取得できるのは平日のみの場合が多いです。また、学科試験の実施日時が決まっていることもあるので、事前に各地域の運転免許試験場や運転免許センターに確認しておきましょう。
必要な持ち物
<事前に準備が必要な書類>
住民票と申請用写真は、新たに用意が必要なため、事前に準備しておきましょう。
- 住民票の写し(発行後6ヶ月以内。本籍地の記載があるもの)
- 申請用写真1枚(縦3cm×横2.4cm。無帽、正面、上三分身、無背景。撮影後6ヶ月以内)
<試験当日の持ち物>
当日は、上記の事前準備書類に加えて以下の持ち物が必要となります。
- 身分証明書
- 筆記用具
- 手数料
- メガネやコンタクトレンズ(必要な方のみ)
取得費用(手数料)
原付免許の取得費用は、試験手数料1,500円と免許証交付手数料2,050円です。これに加え、原付講習受講料として4,500円必要です。ただし、市町村によって手数料が異なる場合もあります。
取得までの流れ
受付→適性試験→学科試験→(合格後)原付講習→原付免許交付
原付免許を取得するまでの一般的な流れは上記の通りです。ですが、地域によっては試験前に原付講習を受講しなければならなかったり、学科試験や原付講習は予約制をとっていたりする場合もあるので、事前に確認をしておきましょう。また受付時には、申請書の記入や証紙の購入などの手続きが必要になることもあるため、時間には余裕を持って行くようにしてください。
4. 原付免許の各試験・講習の詳しい内容は?
適性試験
適性試験は、運転の適性を測る身体検査です。具体的には、視力検査、色彩識別検査、運動能力検査、聴力検査が行われます。それぞれ、以下のような合格基準が設けられています。
視力...両目で0.5以上あること。一眼が見えない場合は、もう片方の眼の視野が左右150度以上かつ視力が0.5以上。※メガネ・コンタクト使用可
色彩識別検査...赤・青・黄の区別がつくこと。
運動能力検査...安全運転に必要な認知能力や操作能力があること。
聴力...10m離れた場所で、90デシベルの警音器の音が聞こえること。
※補聴器使用可
学科試験
学科試験は、○×の2択問題のマークシート形式で、試験時間は30分です。試験内容は、文章問題46問とイラスト問題2問が出題され、配点は文章問題が1問1点、イラスト問題が1問2点。90%以上正解すれば合格です。
なおイラスト問題では、1つのイラストにつき問題が3つ出題され、全て正解しなければ得点がつきません。ひっかけ問題もありますから、事前に問題集などで練習をしておくと安心です。
原付講習
原付講習は、講義(1時間)と技能(2時間)の講習です。講義では、安全運転の知識を学び、技能では実際に原動機付自転車に乗車して、基本の操作・走行、応用走行など運転技術を学びます。実車講習がありますので、サンダルやハイヒール、スリッパ、下駄、スカート等での受講はできません。長袖、長ズボン、運動靴といった原動機付自転車の運転に適した服装で受講しましょう。
5.監修コメント
2025年4月に新基準原付の運用が開始されましたが、原付免許を取得するまでの流れなどは変わりません。
ただ、原付免許を取得する際に受けなければいけない原付講習は、公安委員会指定の教習所で受講できる自治体もあるなど、順序や条件が都道府県によってさまざまです。試験を受ける前に教習所で受講できる自治体もあれば、教習所で原付講習を受けてからでないと試験の予約ができない自治体もあります。試験を受ける都道府県警察の公式サイトを確認するようにしましょう。
原付講習を実施している教習所では、ヘルメットを持参してもらうことにしている場合もあります。天候がよくない日に受けなければならないこともあるので、雨具なども用意しておくとよいでしょう。