自動車保険

落下物による事故は保険で補償される?過失割合や注意点を解説

更新

2025/03/31

公開

2025/03/28

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車で走行中に道路上の落下物に衝突する事故は、国土交通省の発表によると年間30万件以上(※)発生しており、平均すると1日あたり約800件になります。落下物は大きな事故につながる可能性があるため、自動車保険で補償を受けられるのか、責任の所在や過失割合はどのくらいになるのかなどを理解しておくことが重要です。

また、落下物による事故を未然に防ぐためのポイントや、事故にあった際の対処方法も知っておくと、安心して運転できるでしょう。
※ 参考:国土交通省|高速道路上の落下物処理件数(令和4年度)

この記事では、落下物による事故の補償や過失割合、注意点について解説します。

目次

    1. 落下物による事故は保険で補償される?

    落下物による事故は、走行中に前方車両から落下した物体に衝突した場合や、道路上に放置された落下物に衝突した場合などが該当します。

    こうした事故が起きた場合、自動車保険の「車両保険」で補償を受けられる場合がありますが、車両保険のプランによって補償範囲が異なります。

    車両保険には「エコノミー型」「フルカバー型」などの補償プランがあり、本記事ではこのプラン名を用いて解説します。保険会社によって呼称や適用範囲が異なるためご注意ください。

    2つのプランで補償される範囲を見てみましょう。

    車両保険の「エコノミー型」

    車両保険の「エコノミー型」プランでは、「飛来中または落下中の他物との衝突」による損害が補償されます。

    例としては、積載物の落下対策が不十分なトラックから積荷が落ちてきたケースや、建設現場の資材が道路に飛来したケース、鳥類など飛んでいる動物との衝突事故などがあげられます。ただし、すでに道路上に落下している他物との衝突は支払い対象外となることを注意しましょう。

    なお、「車対車」と呼ばれるプランでは車同士の事故のみが補償範囲となるため、「飛来中または落下中の他物との衝突」による損害は補償されません。

    車両保険の「フルカバー型」

    「フルカバー型」では単独事故による損害が補償されます。

    単独事故はおもに自損事故を指しますが、道路上に放置された落下物や、野生動物などとの衝突も単独事故に含まれます。

    「エコノミー型」では、単独事故が補償対象外となることが多いため、落下物の事故では満足な補償を受けられない可能性もあります。

    ※野生動物との衝突事故については、保険会社によって補償対象にならない場合もあります。

    2. 落下物による事故の責任はだれにある?

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    落下物による事故の責任は一体だれにあるのでしょうか。また、落とし主が特定できない場合はどうなるのでしょうか。

    責任は基本的には落とし主にある

    落下物による事故の責任は、基本的に落とし主にあります。

    運転者の遵守事項を定めている道路交通法第71条第4項により、運転者は自分の車の積荷などが落下しない対策を取る義務が定められているからです。

    なお、高速道路上での落下物は、より危険性が高まるとの理由から、道路交通法第75条の10によって、貨物の積載の状態を点検する義務も定められています。

    落とし主が不明な場合 

    落下物によって自分の車や搭乗者に損害が生じた場合、警察への届け出が必要です。ドライブレコーダーなどの映像でも、その後の警察の捜査でも落とし主が特定できない場合、相手側の保険を使って補償してもらうことができません。

    基本的には落とし主に責任があり、賠償してもらうことが当然だとしても、事実上の責任追及が難しく、自身が加入している車両保険、もしくは人身傷害保険を使用することになります。

    そのため、こうしたケースでも補償を受けることが可能な「フルカバー型」の車両保険の契約を検討することが大切です。なお、保険会社から「交通事故証明書」の提出を求められることがありますので、事故の際は警察に届け出をし、各都道府県にある自動車安全運転センターで取得しておくようにしましょう。

    3. 落下物による事故の過失責任・割合はどれくらい?

    落下物による事故の過失割合は、高速道路と一般道路で異なる場合があります。詳しく見ていきましょう。

    高速道路の場合

    高速道路での落下物による事故では、基本的な過失割合は先行車(落下物を落とした車)60%、後続車40%とされるのが一般的です。(別冊‗判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準より)ただし、後続車の速度超過や車間距離不足が認められた場合、後続車の過失が大きくなることもあり、状況に応じて過失割合は変わります。

     たとえば、高速道路で荷台から積荷が落下し、後続車が衝突したケースでは先行車の過失が問われます。しかし、後続車が落下物を予測、回避できるような運転をしていたかも過失割合を算出する際の争点となり、一概に先行車(落下物を落とした車)60%、後続車40%になるとはいえません。 

    一般道路の場合

    一般道路では、高速道路と比較してスピードが落ち、落下物を回避する余地があるため、後続車の前方不注意や速度超過が大きな過失として扱われる可能性があります。そのため、高速道路と比べると、後続車の過失割合が高くなる傾向があります。一般道路の場合でも高速道路と同様に、個別の事故状況に応じて過失割合は異なります。

    4. 落下物による事故を未然に防ぐためのポイント

    落下物による事故を未然に防ぐためには、運転するときに、日ごろから以下のポイントを意識しておくことが大切です。

    十分な車間距離を空けて走行する

    車間距離を十分に空けて運転することは、落下物による事故を防ぐ基本的な対策です。前の車との距離を保つことで、余裕を持って落下物を回避することができます。

    なお、走行中の適切な車間距離は、警視庁によると「前の車が通過した地点まで2秒かかるくらいの距離が目安」とのことです。信号や標識などの目標物を決めて、前の車が目標物を通過してから自分の車が通過するまでに、ゆっくり2秒数えることができるかどうか、確認すると良いでしょう。

    出典
    警視庁「高速道路を利用される皆様へ」

    法定速度を守り安全運転を心がける

    法定速度を守り、安全運転を徹底することで、落下物に対して落ち着いて対処する時間を確保でき、事故のリスクを軽減できるでしょう。

    落下物に気づいたら安全に停車する

    道路上で落下物に気づいた場合は、いったん安全な場所に停車することが推奨されます。特に高速道路では、無理な回避行動が二次被害を引き起こす恐れがあるため、慎重な対応が必要です。

    5. 走行中に落下物を見つけたら?事故にあった場合の対処方法は?

    走行中に落下物を見つけた場合は、まず道路緊急ダイヤル(#9910)に連絡をしましょう。#9910に連絡すると、最寄りの道路管理者に直接連絡できます。なお、LINEによる通報も可能です。LINEに「国土交通省道路緊急ダイヤル(#9910)」の友だち追加を事前にしておけばいざという時にすぐに利用できて便利です。また、高速道路のSAやPAの係員に伝えるのも良いでしょう。必ず安全な場所に停車してから、連絡するようにしましょう。

    もし落下物による事故にあった場合は、まず安全な場所に車を停車させ、二次被害を防ぐためにハザードランプや発煙筒などで、後続車に知らせることも大切です。その後、警察や保険会社に連絡し、状況を正確に伝えましょう。必要に応じてロードサービスなどを活用し、車両の移動や修理の手配を行います。

    6. 落下物による事故に備えて自動車保険に加入しましょう

    落下物による事故は予期せぬ形で発生することが多いため、適切な自動車保険に加入しておくことが重要です。特に「フルカバー型」の車両保険であれば、幅広い補償を受けることができます。自動車保険を選ぶ際は、補償内容をしっかり確認し、いざというときの備えを万全にしておきましょう。

    SOMPOダイレクトの「おとなの自動車保険」では車両保険の補償を細分化しており、お客さまのニーズにあわせて必要な補償を選ぶことができます。落下物による事故については「火災・落書き・台風」の補償メニューでカバーすることができます。

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    鈴木 さや子
    監修
    鈴木 さや子(すずき さやこ)

    株式会社ライフヴェーラ代表。生活に役立つお金の知識を、企業講演、セミナーやメディアを通じて情報発信。専門は資産形成・教育費・保険・マネー&キャリア教育。損害保険会社勤務を経て現職。保険や金融商品を一切直接販売せず、毎日を過ごすためのお金・キャリアの情報を発信している。近著に『資産形成の超正解100』(朝日新聞出版)・『18歳からはじめる投資の学校(翔泳社)』。

    資格情報: CFP®認定者、1級FP技能士、DCプランナー1級・キャリアコンサルタント(国家資格)

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