最終更新日:2026/7/22

火災保険は途中解約できる?違約金や解約返れい金の有無、必要なお手続きを解説

火災保険を契約していると、さまざまな事情から途中解約を検討することもあるでしょう。引越しやお住まいの売却、住環境のリスク変化による補償内容の見直しなども解約のきっかけになるかもしれません。

このように、契約中の火災保険を解約することになった場合、「一括払した保険料はどのくらい戻るのか?」「違約金は発生しないのか?」という点が気になる方は多いでしょう。乗換えのタイミングやお手続き方法に不安を感じる方も少なくありません。

本記事では、解約返れい金の具体的な計算方法から、損をしない乗換えの進め方、スムーズに解約手続きを進めるための方法を解説します。

火災保険はいつでも途中解約できる!違約金はかかる?

火災保険は最長5年の長期契約が可能です。契約期間が長いほど割引率は高くなる傾向があるため、長期契約を選ぶ方も多いでしょう。しかし、契約期間が長くなると、住まいを取り巻く事情が変わる可能性も高くなるため、途中解約を検討する場面が出てくるかもしれません。

結論として、火災保険は契約途中であっても解約可能です。「一括で払い込んだ保険料がむだになるのでは」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、未経過期間に応じた解約返れい金を受け取れる仕組みがあります。

途中解約に違約金は不要。いつでも解約可能な理由

火災保険は、契約期間にかかわらず、契約者の意思でいつでも解約が可能です。保険法では契約者はいつでも契約を解除(解約)できると定められており、火災保険も例外ではありません。

また、途中解約に違約金や解約手数料は一切かかりません。携帯電話の契約などでは途中解約に違約金が発生するケースがあるため、「火災保険も同じでは」と心配する方もいるかもしれませんが、そのような心配は不要です。未経過分の保険料は所定の方法で計算された解約返れい金として返還されます。

途中解約を検討する主なタイミング

火災保険を途中解約するタイミングとしては、主に以下の3つが考えられます。

  • お住まいが変わるとき

マイホームの買替えなどにより、お住まいが変わるときは、契約対象が変わるため途中解約が必要です。ただし、引越し先の住まいでも引き続き継続できる商品に加入していた場合は、保険の対象(建物・家財)の所在地変更のお手続きをすることで引越し後も契約を続けることが可能な場合があります。

  • 補償内容を見直すとき

補償内容の見直しは、たとえば、結婚や出産などライフステージの変化により求める補償が変わったとき、住まいの増改築により保険金額などを変更する必要があるとき、近隣のハザードマップが更新されたときなどに行います。

契約中の補償内容の変更については、保険会社ごとに対応が異なります。現在のご契約を活かして補償内容の変更手続き(異動手続き)で済むこともあれば、追加する補償によっては契約中の火災保険を解約して再度契約が必要なこともあります。

  • 他社への乗換えを検討しているとき

保険料や補償内容の比較を経て、別の保険会社への切替えを考える方もいるでしょう。この場合は無保険期間を作らないようにお手続きを進めることが重要です。

火災保険の解約返れい金(戻り分)はいくら?計算方法を解説

火災保険の解約返れい金(戻り分)はいくら?計算方法を解説

火災保険の保険料を加入時に年払や一括で支払っている場合、途中解約すると、解約日から本来の満期日までの期間(未経過期間)の保険料のうち、所定の方法で算出された金額が「解約返れい金」として戻ってきます。

解約返れい金とは・・・保険契約などを途中解約した際、先払いした保険料のうち、未経過期間分を払い戻されるお金のこと 解約返れい金 解約すると補償はなくなります

「解約払戻金」や「返還保険料」など、保険会社によって名称は異なりますが、意味は同じです。

「未経過料率」に基づいた解約返れい金の仕組み

解約返れい金の算出は、長期年払や1年一括払の場合は月割などで計算、長期一括払契約の場合は保険会社ごとに定められた未経過料率(%)を用いて計算するのが一般的です。未経過料率は、契約年数、保険の始期日から解約日までの経過期間によって係数が決められています。

未経過料率を用いる場合、解約返れい金は以下の計算式で求められます。
解約返れい金=支払済み保険料(長期一括払の保険料)×未経過料率(%)

火災保険の解約返れい金について、以下の条件をもとに具体的に計算してみましょう。

【条件】

  • 保険期間:5年

  • 保険料:15万円(長期一括払)

  • 経過期間:2年と15日

  • 使用する未経過料率表:SOMPOダイレクト「じぶんでえらべる火災保険(2024年10月1日以降始期)」

「じぶんでえらべる火災保険(2024年10月1日以降始期)」の未経過料率係数表

【計算の手順】

1.

未経過料率係数表の「5年契約」部分を探す

2.

表の横軸「経過年数2年」、縦軸の「経過月数1か月まで※」に該当する係数を探す

3.

解約返れい金=支払った保険料15万円×係数57%=85,500円

端日数1か月未満は1か月として計算するため、経過期間「2年と15日」は「2年1か月」として扱います。

上記の算出方法による解約返れい金額は概算のため、実際のお支払額とは異なる場合があります。

地震保険もセットで解約返れい金が受け取れる

火災保険とセットで地震保険に加入している場合、地震保険についても途中解約時に未経過期間に応じた解約返れい金を受け取れます。計算方法は火災保険と同じですが、使用する未経過料率係数表が異なります。火災保険の未経過料率は保険会社ごとに異なるのに対し、地震保険の未経過料率係数表は全社共通です。

火災保険を途中解約すると基本的に地震保険も一緒に解約となるため、解約返れい金を見積る際は、火災保険と地震保険それぞれの解約返れい金を合算して確認しましょう。

解約日が1日ずれるだけで返れい金が変わる?損をしないタイミングの考え方

未経過料率係数表は「経過月数」単位で料率が区切られているため、解約日が1日違うだけで適用される料率が変わり、解約返れい金に差が出ることがあります。一般的に、端日数は1か月に繰り上げてカウントされるため、たとえば経過期間が「ちょうど2年」と「2年と1日」では適用される料率が異なり、後者の方が解約返れい金は少なくなります。

解約を急がない場合は、経過月数がちょうど切り替わるタイミング(保険の始期日と同じ日付やその前日)に解約日をあわせると、より多くの解約返れい金を受け取れるでしょう。

ただし、引越しや売却など事情がある場合は、解約返れい金よりも補償の空白期間を作らないことが最優先です。あくまで「同じ解約をするなら月の切り替わりを意識するとお得になる可能性がある」という程度に捉えておきましょう。

なお、満期まで残り1か月を切ると未経過料率が0%になるケースがほとんどのため、満期間近の解約はメリットがありません。

【状況別】火災保険をスムーズに途中解約する手順

火災保険を途中解約する際は、保険会社または担当代理店に連絡してお手続きを進めます。連絡方法は電話や契約者向けWebサイト、代理店への問い合わせなど保険会社によって異なりますが、いずれの場合も保険証券が必要になるため、手元に準備しておきましょう。

ただし、各々の状況によって解約前に確認すべき事項やお手続きの流れは異なります。まずはご自身の状況に該当するポイントを確認してからお手続きを進めましょう。

【賃貸】管理会社への連絡とは別に、保険会社へのお手続きが必要

賃貸物件の退去時は、管理会社や大家に退去連絡をしただけで火災保険が自動的に解約されるわけではありません。加入している保険会社または代理店に契約者本人が別途連絡して、解約手続きを進める必要があります。

【持家・ローン有】銀行への確認が必要な「質権設定」の注意点

住宅ローンが残っている場合、まず確認すべきなのが火災保険への「質権設定」の有無です。質権設定とは、万が一火災などで建物に損害が生じた際、保険金を金融機関が優先的に受け取れるようにする仕組みです。金融機関が融資額を確実に回収するための担保として設定されるもので、質権が設定されている火災保険は金融機関の同意なしには解約できません。保険証券に質権の裏書きがあるかどうかで設定の有無を確認できます。

質権設定がある場合はまず金融機関に解約の意向を伝えて同意を得たうえで、保険会社に解約を申請します。他社に乗換える場合は、新しい保険に改めて質権を設定するお手続きも必要です。

なお、近年は質権設定を求める金融機関は減少傾向にあります。ただし、質権設定がない場合でも、住宅ローンの融資条件として火災保険への加入を義務付けているケースがほとんどです。そのため、ローン返済中に火災保険を解約・変更する際は、事前に金融機関へ確認しましょう。

解約し忘れた!「さかのぼって解約」ができる条件とは?

引越しや売却後に火災保険の解約手続きを忘れていた場合でも、保険会社によっては、本来解約すべきだった時点(退去日や引渡し日など)までさかのぼって解約できるケースもあります。解約が認められれば、さかのぼった解約日以降の未経過保険料に相当する解約返れい金を受け取れる可能性があります。

ただし、遡及解約の可否や条件は保険会社によって異なり、退去や売却の事実を証明できる書類(不動産売買契約書や賃貸借契約の解約合意書など)が求められるのが一般的です。解約し忘れに気づいた時点でできるだけ早く保険会社に問い合わせましょう。

損をしないための「火災保険の乗換え」のコツ

火災保険の途中解約そのものは、決して難しいお手続きではありません。ただ、乗換えを機に解約をする場合は「補償が途切れることはないのか」「保険料を必要以上に払うことにならないか」といった点が気になることもあるでしょう。

途中解約するときに、ご自身やご家族が不利な状況に陥らないように気を付けておきたいポイントをいくつか紹介します。

無保険状態(空白期間)を作らないためのスケジュール管理

補償内容の見直しのために他の火災保険を契約する場合や、引越しなどで前のお住まいの火災保険を解約し、新たなお住まいの火災保険に再契約するようなケースでは、補償の空白期間が生まれるリスクがあります。

保険は一旦解約が成立すると、たとえ解約直後に損害を受けても補償されません。補償の空白期間を作らないためにも、持家を売却する場合は物件の引き渡し日を旧契約の解約日とし、新居を購入した場合は引渡し日を補償開始日としましょう。また、賃貸の場合は、旧居の退去日を旧契約の解約日とし、新居の入居日から新契約の補償を開始するとリスクに対して適切に備えられます。

保険料の二重払いを防ぐ解約日の設定方法

空白期間と同様に避けたいのが、旧契約と新契約の保険期間が重複することによる保険料の二重払いです。損害保険では、基本的に実際の損害額を超える保険金は支払われないため、旧契約と新契約の保険期間が重複しても補償が手厚くなるわけではなく、必要以上のコストが発生してしまいます。

二重払いを防ぐためには、旧契約の解約日と新契約の補償開始日を同日に設定しましょう。たとえば、新契約の補償開始日が7月1日であれば、旧契約の解約日も7月1日に設定します。

ただし、状況によっては、新居の入居日と旧居の退去日が数日重複するケースもあるでしょう。この場合、二重払いを避けるために旧居の解約日を早めると、退去日までの補償が途切れてしまいます。保険料の節約だけを基準にせず、旧居は退去日まで、新居は入居日から、補償が途切れないように解約日を設定してください。

乗換えを機に補償内容を見直し、保険料を賢く節約する

火災保険の乗換えは、補償内容をあらためて見直す良い機会といえます。加入時には必要だと思っていた補償が、現在の住環境やライフスタイルでは不要になっていることもあります。こうした補償を整理することで、結果として保険料を抑えられるケースは少なくありません。

また、代理店型からネット型(通販型)の火災保険に切り替えることで、保険料を抑えられる場合もあります。

ただし、保険料の安さばかりに目を向けるのではなく、住まいのリスクに対して必要な補償を確保できているかを第一に判断しましょう。

なお、10年以上の長期契約を結んでいる場合、乗換え後は最長5年契約となるため長期割引の恩恵が小さくなり、保険料が割高になる可能性もあります。初めて火災保険を見直す方は、乗換え前後の補償内容や保険料を十分比較したうえで解約を判断しましょう。

まとめ:火災保険の途中解約は、解約返れい金とタイミングを正しく理解して進めよう

火災保険は、満期を迎える前であっても、契約者の都合の良いタイミングで途中解約できます。違約金がかかることもありません。

長期一括払など、すでに払込み済みの保険料があれば、解約返れい金が受け取れるため、未経過期間分の保険料が全額むだになるわけではありません。

ただし、持家でローンの残債がある場合など、状況によっては解約前に一定のお手続きが必要になることもあります。また、解約の手続き方法や契約内容の見直しへの対応可否なども、保険会社ごとに違いがあるため、途中解約する可能性がある場合は、保険会社や代理店へ速やかに問い合わせましょう。

新たな火災保険への乗換えをお考えの方は、必要な補償を自分で選んで組み立てられるSOMPOダイレクトの「じぶんでえらべる火災保険」をご検討ください。

監修コメント

火災保険の途中解約を検討する際に見落としがちなのが、契約期間中に発生した損害に対する保険金の請求漏れです。たとえば、過去の台風や大雨による雨漏り、外壁のひび割れなど、軽微な被害であっても火災保険の補償対象となるケースは少なくありません。保険法第95条では保険金の請求権は3年で時効により消滅すると定められており、損害の発生から3年を過ぎると請求権自体を失う恐れがあります。解約手続きを進める前に、契約期間中に心当たりのある被害がないかを振り返り、請求漏れがあればすみやかに保険会社へ相談することをおすすめします。

監修者プロフィール


荒木 和音

荒木 和音(あらき かずね)

金融分野専門ライター。早稲田大学卒業後、生命保険・損害保険を取り扱う保険代理店にて、家計相談や企業向けのリスクコンサルティングなどを計10年以上経験し独立。大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績を持つ。専門性の高いテーマでも、読者の理解を促す構成と語り口にこだわった記事制作を得意としている。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。

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