2019年10月から、自動車取得税に代わる税金として導入されてきた自動車の取得時にかかる「環境性能割」ですが、2026年3月末で廃止されることが決定しています。
ここでは、これから車の買い替えを考えている方に知っておいていただきたい環境性能割、その対象となる車や税額の計算方法、廃止される背景・影響などをわかりやすく解説します。
- 目次
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1. 環境性能割とは?
環境性能割とは、自動車を取得したときに自動車の燃費性能などに応じて課される税金のことです。2019年10月1日の消費税増税に伴い、自動車取得税が廃止された際に、新たに導入された税金です。正式には普通車が対象となるものは「自動車税環境性能割」、軽自動車が対象になるものを「軽自動車税環境性能割」といいます。
環境性能割は、排出ガス基準や燃費基準の達成度などに応じて課税されていました。燃費が良く排出ガスが少ないなど、環境性能が高い車ほど税率が低くなります。
環境性能割の対象車・納税のタイミング
環境性能割は個人・法人に関係なく、車を購入したときや譲り受けたときに課税されていました。また、新車・中古車は問いません。新規登録・移転登録時に運輸支局または自動車検査登録事務所と同じ敷地内にある自動車税事務所などで納付します。
環境性能割の対象となるっていた車は以下の通りです。
- 電気自動車
- 燃料電池自動車
- 天然ガス自動車
- プラグインハイブリッド自動車
- 2030年度燃費基準を達成しているガソリン車・LPG車(ハイブリッド車を含む)
- 2023年度12月31日までに取得し、一定の基準を満たしたクリーンディーゼル車
対象となるっていたのは三輪以上の小型自動車や普通自動車、およびバスやトラックです。二輪車や原動機付自転車は課税の対象外となっていました。また、車の取得価額が50万円以下の場合や車を相続した場合などは、環境性能割は課税されません。取得価額とは、おおまかにいうと車を取得する際にかかった費用のことです。取得価額の計算方法は新車と中古車で変わってきます。
2. 環境性能割が2026年3月末で廃止。背景や影響について
なぜ廃止される?
環境性能割の廃止には、消費税との「二重課税」であるとの指摘があったことに加え、アメリカの追加関税による自動車産業への打撃、物価高を背景とした消費の冷え込みなど、複数の要因が影響しています。
こうした状況を踏まえ、2025年12月19日に公表された「2026年度税制改正大綱」において、環境性能割の廃止が決定されました。今回の見直しにより、自動車産業の負担軽減や、消費の活性化が期待されています。
いつから廃止される?
環境性能割は、2026年3月末で廃止される予定です。つまり、2026年4月1日の取得分から、環境性能割が課税されなくなります。
廃止されるとどうなる?
環境性能割が廃止されることで、車の購入時にかかる費用が安くなります。ただし、環境性能の高い車はもともと非課税または減税となっていたため、すべての車で購入費用が一律に安くなるわけではありません。
具体例として、トヨタのヤリス G(ガソリン1.5L CVT 2WD)を見てみましょう。トヨタのウェブサイトでシミュレーションをしたところ、環境性能割は50,800円(※2026年3月時点)でした。約5万円の負担がなくなるのは、自動車ユーザーにとって大きなメリットといえるでしょう。
一方、環境性能割の廃止は地方税収の減少につながるため、自治体にとってはデメリットもあります。総務省によると、環境性能割の税収は約1,900億円(令和7年度地方財政計画による)で、自治体にとっては重要な財源の一つでした。環境性能割の減収分については、安定財源を確保するための策を検討し、その間は国の責任で手当てされる予定です。
車の税金は今後どうなる?
「2026年度税制改正大綱」では、環境性能割の廃止のほか、車に関するさまざまな税金の見直しや検討が行われました。
まず、電気自動車やプラグインハイブリッド車については、2028年5月から重量税が上乗せされる予定です。さらに、電気自動車においては、2028年度から重量に応じた自動車税(種別割)も導入されます。これは、電気自動車はバッテリーが重く、道路に与える負荷が大きいこと、またガソリン車との税負担の公平性を確保する必要があると判断されたためです。
一方、エコカー減税については、減税基準を厳しくした上で、2028年4月末まで延長されることになりました。
なお、今回の改正ではガソリン税の暫定税率廃止も話題になりました。しかし、廃止に伴う税収減をどう補うのかが課題となっており、走行距離に応じた「走行距離課税」の導入が再検討されるのではといった見方も出ています。
3.環境性能割の計算方法
環境性能割の税額は、原則として「車の取得価額×環境性能割の税率」で算出します。前述した通り、新車と中古車では取得価額の計算方法が異なります。中古車では経年劣化などを考慮し、使用された経過年数によって取得価額が変わるためです。それぞれの計算方法を解説します。
新車の計算方法
新車の環境性能割の税額は次の計算式で算出します。
取得価額(課税標準基準額+自動車購入時につけたオプションの価格)×環境性能割の税率=環境性能割の税額
「課税標準基準額」は車検証に記載された車種やグレードによって決まっています。目安としては車両本体価格の90%程度です。「自動車購入時のオプションの価格」は、カーナビやアルミホイールなど「車両と一体化したオプション」の価格のことです。フロアマットやチャイルドシートなど簡単に着脱できるものは取得価額に含まれません。
中古車の計算方法
中古車の環境性能割の税額は次の計算式で算出します。
取得価額(課税標準基準額×残価率)×環境性能割の税率=環境性能割の税額
「残価率」とは、新車登録時の車の価値を1として経過年数に応じて残っている価値を示すものです。残価率は総務省の中古車残価率表で定められています。たとえば、自家用乗用車の場合、耐用年数は6年とされており、経過1年で0.681、経過2年で0.464、経過6年で0.100と下がっていきます。
なお、自家用乗用車の中古車の場合、一般社団法人日本中古自動車販売協会連合会のホームページで環境性能割の税額の目安を検索することができます。参考にしてみるのも良いでしょう。
おとなの自動車保険はこちら「自動車税環境性能割 税額検索サービス ※中古車」
4. 環境性能割の税率
環境性能割の税率は、自動車の燃費性能や車を取得した時期などに応じて、自家用乗用車は0~3%、営業用の乗用車と軽自動車は0~2%となっていました。ここでは自家用乗用車の環境性能割の税率を紹介します。
まず、電気自動車、燃料電池自動車、一定の基準を満たした天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車を2026年3月31日までに取得した場合は非課税です。一定の基準を満たしたクリーンディーゼル車も2023年12月31日までに取得した場合は非課税になります。電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車以外の自家用乗用車の税率は、取得した時期によって変わってきます。具体的には以下の通りです。
環境性能割の税率(自家用乗用車)
〜2023年12月31日までに取得した場合
| 対象 | 税率 | |
|---|---|---|
| ガソリン車・LPG車(ハイブリッド車を含む) | 2030年度基準85%達成 | 非課税 |
| 2030年度基準75%達成 | 1% | |
| 2030年度基準65%達成 | 2% | |
| 2030年度基準60%達成 | 2% | |
| 上記以外 | 3% | |
2024年1月1日〜2025年3月31日までに取得した場合
| 対象 | 税率 | |
|---|---|---|
| ガソリン車・LPG車(ハイブリッド車を含む) | 2030年度基準85%達成 | 非課税 |
| 2030年度基準80%達成 | 1% | |
| 2030年度基準70%達成 | 2% | |
| 2030年度基準60%達成 | 3% | |
上記以外 |
3% | |
2025年4月1日〜2026年3月31日までに取得した場合
| 対象 | 税率 | |
|---|---|---|
| ガソリン車・LPG車(ハイブリッド車を含む) | 2030年度基準95%達成 | 非課税 |
| 2030年度基準90%達成 | 1% | |
| 2030年度基準85%達成 | 1% | |
| 2030年度基準80%達成 | 2% | |
| 2030年度基準75%達成 | 2% | |
| 2030年度基準70%達成 | 3% | |
| 上記以外 | 3% | |
※軽減対象は2020年度燃費基準達成車両に限る
5. ASV(先進安全自動車)とバリアフリー車両は減税の特例措置がある
安全運転を支援する「先進安全装置」の搭載、バリアフリー対応など、基準を満たしたトラック・バスなどは、ASV(先進安全自動車)減税やバリアフリー車両減税の対象になります。これは、自動車税環境性能割、自動車重量税が減税となる税制特例措置で、新車新規登録時に限り適用されます。
環境性能割の場合、取得価額から一定の控除を受けることができていました(詳細は下記の表を参照)。
自動車重量税については、ASV(先進安全自動車)は25%の減税、バリアフリー車両は免税の特例が設けられています。これらの特例措置は、「2026年度税制改正大綱」において延長されることが決まっており、ASV(先進安全自動車)は2028年8月31日まで、バリアフリー車両は2029年3月31日まで適用されます。
自動車税環境性能割の減税対象となっていた車両の要件や特例措置の内容は次の通りです。
ASV減税(自動車税環境性能割)
| 対象車両 | 取得期間 | 取得価額からの控除額 | |
|---|---|---|---|
| 衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き)搭載車両(AEBS) | 乗車定員10人以上で立席のないバスなど | 2025年3月31日まで | 175万円 |
| 3.5t超〜8t以下のトラック(被けん引車を除く) | 2025年3月31日まで | 175万円 |
|
| 衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き) | 8t超のトラック(被けん引車を除く) | 2024年4月30日まで | 350万円 |
| 側方衝突警報装置搭載車両 | 8t超のトラック(被けん引車を除く) | 2024年4月30日まで | 175万円 |
バリアフリー車両減税(自動車税環境性能割)
| 対象車両 | 取得期間 | 取得価額からの控除額 |
|---|---|---|
| ノンステップバス ※1 | 2025年3月31日まで | 1,000万円 |
| リフト付きバス ※1 |
|
|
| ユニバーサルデザインタクシー (一般乗用旅客自動車運送事業者が路線定期運行のために導入するものに限る) |
100万円 |
※1一般乗合旅客自動車運送事業者が路線定期運行のために導入するもの、または一般貸切旅客自動車運送事業者がその事業のために導入するものに限る。
※空港アクセスバスは一般乗合のものに限る。
※対象となる車両がバリアフリー減税とASV減税両方の対象でもある場合は、いずれかを申告者が選択可能。また、燃費性能に応じて軽減された税率とASV減税は両方適用される。
衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き)とは?
カメラやレーダーによって前方の自動車や歩行者を検知し、追突する危険があるときは音や警告灯でドライバーに注意喚起します。それでもブレーキ操作がなく、追突を避けられないときには自動的にブレーキが作動するシステムです。
側方衝突警報装置(BSIS)は左側の自転車などを検知・警告し、左折時の巻き込み事故を予防するシステムです。側方衝突警報装置に関する特例措置は2024年4月30日までで終了しています。
6.監修コメント
2026年3月現在、環境性能の高い自動車に対する税制面の優遇措置として「エコカー減税」「グリーン化特例」「環境性能割」があります。
エコカー減税は自動車重量税を軽減する特例措置で、グリーン化特例は自動車税(種別割)や軽自動車税(種別割)を一定期間軽減する制度です。これに対し、環境性能割は自動車取得税の廃止に伴い創設された取得時課税であり、燃費性能などに応じて税率が決まる仕組みとなっています。
今回の環境性能割の廃止は、自動車関係税制の簡素化と再構築の一環と位置付けられます。今後はエコカー減税やグリーン化特例を含めた制度全体の見直しが進む可能性があるので、購入時だけでなく、保有段階も含めた総合的な税負担を確認することが重要です。
